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天描の世界

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大地に根ざす四季折々の花々や草木に姿を借りて、点だけで描く「こころのかたち」を天描画と呼びます。

点描の世界へようこそ [5]

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第4章 落款(らっかん)について

『点描画』は、どこから描き始めどこで終えるか。ひとつの作品の完成は、見極めが難しいものですが、必ずといっていいほど起点に戻っているように思えます。浅く深くを繰り返します。そして完成が近づいてくると、それまで無心で打ち続けるペン先の力がふ~っと抜けていくような感触が走ります。あまりに抽象的で申し訳ないのですが、これが実感です。
画の完成は、落款印を押すことには違いないのですが、これはあくまで形式にすぎないと考えています。
さて、この章はその「落款」について。
正式には、姓名印ともいわれる「白文印」、雅号印と呼ばれる「朱文印」、そして引首印といわれる「関防印」を含めて「三顆対印(さんかついいん)」が使用されます。
ほかにも、遊印や蔵書印など用途に合わせて使い分けされますが、趣味の篆刻といわれるように書体や彫り方も多種多様。ここでは、既製印は使いません。なぜなら、作者を限定するためのものですから、人と同じでは困るわけです。

『点描の華』専用の印が出来上がってきました。「朱文印」と「関防印」の2種類ですが、書体は主題に合わせて「篆書体」を選びました。落款の役割を考えてみれば、決して浮き上がるものであってはいけません。あくまでも主題となる画を生かすバランスを第一義に作りたいものです。もちろん、その印影だけではなく、捺す位置もバランスが優先します。一般に、画の起点にあたる「関防印」は右上の余白に、「朱文印」は左下に止めます。

これは余談ですが、もうひとつの「白文印」を使う場合は、「朱文印」の上に並べて捺します。ただ、普通の色紙(3号)では控えた方がいいでしょう。また、もっと小さな用紙なら、「朱文印」だけで十分です。落款のサイズも同様、用紙のサイズに合わせたバランスも忘れずに・・・。


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by tenbyou-world | 2006-08-20 07:57 | 天描の世界

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