【第7回 天描の世界展 大阪】 回顧展その3
描くことは祈ること
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それでは出展の新作5作品をご紹介します。
この祈念展でどうしても展示したかった天描の華ばかりです。
いつ切れ散ってしまうのかと思うほど
薄紅色の細い糸のような弱々しいこの花は
夏の太陽としっかり遊んだあと
日暮れとともにやすらかな眠りにつきます。
まるで小さな子どものようにも見えてしまいますが
その名の語源からは、しっかり結びついた赤い糸を
親子や家族が喜びを分かち合える深い絆と読み取れば
人の世の忘れ物はまだまだたくさんありそうです。
この花との出会いは昨年の夏のことですが
描き終えたのは、今年2月の終盤。
いま考えれば、このとき本展はスタートしていたのかもしれません。
2011年春、わが家の玄関先で
大きく膨らんだミモザの蕾が開きはじめました。
そして、私たちが悲しみに言葉を失い
日本が、世界が涙した一日となりました。
三月十一日を 忘れない―
きっと来る、やさしく微笑む春はきっと来る
そう願い、祈り、描きはじめたこの天描の華は
不思議と筆の止まる気配がなかったことを思い起します。
◎案内状やポスターで使用した作品です。
この花の色は、春の訪れを告げるにふさわしい。
北国では雪の下から顔を出しますが
今年も変わらぬ風景があったはずです。
そして、来年も・・・。
変わらぬ穏やかな暮らしこそが幸せの証。
そんな日々が、いつの日か戻ることを信じて
いのちの輝きを伝えたいと願いながら
いま、幸せの黄金色を描きます。
宮沢賢治の志を受け継ぐ次代のきみたちへ―
人のこころをやさしく包むような大人になってください。
自分より他人を想えるひとになってください。
そして、愛するこころのふるさとを、誇れる町を
もう一度つくり上げてください。
たとえ、その道のりは遠くても・・・。
賢治はそう願い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と結びました。
涼やかで澄んだ空色のようなこの花にその願いを託し
天描の華《忘れな草》を描きました。
◎芳名帳に記入いただいた方にお礼状としてお持ち帰りいただきました。
生きるとは・・・
多くの人々がこの意味を自問自答する2011年の春
自慢の桜は咲いたでしょうか。
ふるさとの浜辺にハマナスは咲いたでしょうか。
1945年、廃墟のヒロシマにいち早く咲き
人々に生きる勇気を与えたと言われる夾竹桃の花を
いま、天描の華に描き残します。
生きるとは、いのちあるものを慈しむこと・・・
そして、そのことに気付くことかもしれません。
この5作品を含め、ここまで51点の天描の華が誕生しました。
描きはじめて以来、変わらぬ想いがあります。
“描くことは祈ること”
その原点をもう一度しっかり見据えさせてもらった個展になりました。
「こんな国に誰がした」と嘆くなかれ
この時代に生きる私たちにこそすべての責任はあるのです。
そして、その再建は
いまを生きる私たち以外にその役割を果たすことはできません。
< つづく >
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第7回展を記念して、先着7名の方に
新作ポストカード5点セットを進呈いたします。
◎新作の詳細は回顧展3でごらんいただきます。
◆締め切り/回顧展最終日
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ISBN978-4-88313-531-8
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by tenbyou-world
| 2011-06-30 00:23
| 第7回 天描の世界展 大阪